
コラム
2026.06.18
プロテインは肝臓に悪い?久留米市の肝臓専門医が教える正しい知識と上手な取り入れ方
健康意識の高まりとともに、プロテイン(たんぱく質補助食品)を利用する方が増えています。筋トレをしている方だけでなく、ダイエットや健康維持、栄養補助の目的で日常的に飲んでいる方も多いのではないでしょうか。一方で、「プロテインは肝臓に悪いのでは?」「飲み続けても大丈夫?」といった不安の声を聞くこともあります。今回は、プロテインと肝臓の関係について、患者さん向けにわかりやすく解説します。

プロテインとは何か
プロテインとは、英語で「たんぱく質」を意味します。筋肉や皮膚、内臓、血液、ホルモン、免疫など、体の多くの組織はたんぱく質でできています。そのため、健康を維持するためには十分なたんぱく質の摂取が必要です。
通常は肉・魚・卵・大豆製品などの食事から摂取しますが、食事だけでは不足する場合に補助的に利用されるのがプロテインです。代表的なものには、牛乳由来のホエイプロテインやカゼインプロテイン、大豆由来のソイプロテインなどがあります。
プロテインは肝臓に悪いのか
結論から言うと、健康な方が適量を摂取する限り、プロテインが肝臓に悪影響を与えるという明確な医学的証拠はほとんどありません。
たんぱく質は体内で分解され、アミノ酸として利用されます。その過程で窒素が生じますが、これは肝臓で尿素に変換され、最終的に腎臓から尿として排出されます。つまり、肝臓はたんぱく質の代謝に関わる臓器ではありますが、通常の摂取量であれば大きな負担になることはありません。
むしろ、栄養不足の状態では肝臓の働きが低下することもあり、適切なたんぱく質摂取は健康維持に重要です。
注意が必要なケース
ただし、すべての人が自由に大量摂取してよいわけではありません。以下のような場合には注意が必要です。
①過剰摂取
極端に多量のプロテインを摂取すると、たんぱく質代謝の負担が増える可能性があります。特に、食事に加えて大量のプロテインを毎日摂るような場合には注意が必要です。
②既に肝臓の病気がある場合
慢性肝炎や肝硬変など、肝機能が低下している場合は食事内容の調整が必要になることがあります。自己判断でサプリメントを増やすのではなく、医師に相談することが大切です。
③脂肪肝の方
脂肪肝の原因は主にカロリー過多や肥満、アルコール、糖質過多などです。プロテイン自体が脂肪肝の原因になるわけではありませんが、甘味料や糖質が多い製品を過剰に摂取するとカロリーオーバーになることがあります。
プロテインの過剰摂取で肝機能が上昇する可能性がある機序
1. たんぱく質代謝の増加による肝細胞負担
摂取されたたんぱく質は体内でアミノ酸に分解されます。
余分なアミノ酸はそのまま体内に貯蔵できないため、
脱アミノ反応(アミノ基の除去)
尿素回路でのアンモニア解毒
という過程を経て処理されます。
この代謝の中心となる臓器が肝臓です。
過剰なたんぱく質摂取が続くと
アミノ酸分解
尿素合成
といった肝臓での代謝活動が増え、肝細胞の代謝負荷が上がることで軽度のAST・ALT上昇がみられることがあります。
2. カロリー過多による脂肪肝の進行
プロテイン製品の中には
糖質
甘味料
脂質
を含むものもあります。
摂取カロリーが過剰になると、
肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝が進行し、その結果として肝酵素(ALTなど)が上昇することがあります。
3. サプリメント成分による肝障害
一部のプロテインやサプリメントには
ハーブ成分
脂肪燃焼系成分
アナボリック系サプリ
などが含まれることがあります。
これらが原因で薬剤性肝障害(drug-induced liver injury)を起こし、肝機能が上昇するケースも報告されています。
適切なたんぱく質の摂取量
一般的に、健康な成人では体重1kgあたり約1.0g前後のたんぱく質が目安とされています。
例えば体重60kgの方であれば、1日約60g程度です。運動量が多い方では1.2〜1.5g程度必要になることもあります。
まずは食事からの摂取を基本とし、足りない場合にプロテインを補助的に利用するという考え方が理想的です。
◎一般成人の目安
健康な成人では、通常の食事も含めて
体重1kgあたり 約0.8~1.0g/日
が基本的な必要量とされています。
◎運動している人
筋トレや運動習慣がある方では
体重1kgあたり 約1.2~1.6g/日
程度まで摂取することが一般的で、多くの研究でも安全域とされています。
◎上限の目安
健康な人であれば、
体重1kgあたり 約2.0g/日程度まで
は大きな健康問題を起こす可能性は低いとされています。ただし、これは食事+プロテインを合わせた総たんぱく量です。
プロテインを上手に取り入れるポイント
プロテインを健康的に利用するためには、次のポイントを意識しましょう。
- 基本はバランスの良い食事を中心に、食事からプロテイン(たんぱく質)を摂取する
- 不足分を補う目的で利用する
- 過剰摂取を避ける
- 糖質やカロリーが高い製品に注意する
- 肝臓や腎臓の病気がある場合は医師に相談する
肝臓の健康が気になる方へ
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少のダメージでは自覚症状が出にくい臓器です。気づかないうちに脂肪肝や肝機能障害が進行していることもあります。
健康診断で肝機能異常を指摘された方や、脂肪肝を指摘された方、アルコール摂取が多い方は、定期的な血液検査や腹部超音波検査で状態を確認することが大切です。
久留米市の宮﨑胃腸科内科医院では、地域密着のかかりつけ医として、肝臓を含めた内科全般の診療を行っています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医の視点から、患者さん一人ひとりの生活習慣や体調に合わせたアドバイスを行っています。
「プロテインを飲んでも大丈夫?」「健康診断で肝機能を指摘された」「脂肪肝が気になる」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。早めのチェックと適切な生活習慣が、肝臓の健康を守る第一歩になります。
監修 宮﨑胃腸科内科医院 副院長:宮﨑 健(みやざき けん)
日本内科学会 総合内科専門医/内科認定医
日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本肝臓学会 専門医
日本ヘリコバクター学会H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医
日本抗加齢医学会 専門医
福岡県医師会認定かかりつけ医

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