
ピロリ菌検査
ピロリ菌とは

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息するらせん形の細菌で、正式にはヘリコバクター・ピロリといいます。
胃には強力な酸(胃酸)が存在するため、通常の細菌は生息できません。
しかし、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を利用して胃酸を中和し、アルカリ性の環境を作り出すことで、胃の中で生き続けます。
ピロリ菌の原因
ピロリ菌の感染経路はまだ完全には解明されていませんが、主に経口感染が原因ではないかと考えられています。
また、上下水道の整備が不十分な地域や国では感染率が高いとされています。
過去の日本でも、生水の摂取によりピロリ菌に感染するケースが見られましたが、現在では上下水道の整備が進み、衛生環境が向上したため、感染報告は減少しています。
ピロリ菌と胃がんの関係性
ピロリ菌はゆっくりと胃に炎症を起こし慢性胃炎となります。
感染が長い時間をかけて持続してしまうと胃全体に炎症が広がります。
この段階では自覚症状がほとんどありません。
そして、胃粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少し、胃の粘膜がうすくやせて萎縮が進行した結果、胃がんを引き起こしやすい状態になってしまいます。
ピロリ菌の検査
培養法
胃の組織を採取し、ピロリ菌が発育しやすい環境で5~7日間培養して判定します。
鏡検法
胃の組織を特殊な薬剤で染色し、顕微鏡でピロリ菌を探します。
迅速ウレアーゼ試験法
ピロリ菌が持つ酵素(ウレアーゼ)が尿素を分解してアンモニアを生成する働きを利用します。
アンモニアが存在すると赤くなる試薬を用いて、胃の組織のpHを調べます。
この方法は内視鏡検査後、すぐに結果がわかるため広く利用されています。
ピロリ菌抗体法
血液や尿を採取し、ピロリ菌に感染した際にできる抗体の有無を調べます。
尿素呼気検査法
ピロリ菌が胃の中で尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する働きを利用した検査法です。
特殊な尿素の薬剤を口から投与し、15~20分後に呼気を採取します。
呼気中の二酸化炭素の比率を調べることでピロリ菌の有無を確認します。
便中抗原測定法
ピロリ菌に対する抗体が生きた菌だけでなく死菌に対しても反応することを利用し、便中の抗原の有無を判定します。
ピロリ菌の治療

当院ではH. pylori(ピロリ菌)感染症認定医による検査・診断・除菌治療を行っております。
ピロリ菌が陽性と判定された場合、抗生物質を使った除菌治療を行います。
治療は、胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を1週間服用する「一次除菌」が基本です。
この治療で、約70~80%の確率でピロリ菌を除去できます。
治療後、約1か月以上経過してから再検査を行い、除菌が成功したか確認します。
除菌に成功しても、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。
ピロリ菌除去後も定期的な胃の検診を続け、病気を予防することが大切です。
自費によるピロリ菌検査
一般的に、ピロリ検査の前に胃カメラを受けた場合や、胃カメラ時にピロリ検査を受けた場合のピロリ検査は保険適応となります。
しかし、「症状がなくても予防としてピロリ検査を受けたい」「家族がピロリ菌陽性だったから自分も感染しているか知りたい」といった場合、保険の適用外となり全額自己負担(自費検査)となります。
当院ではピロリ菌感染症認定医による自費でできるピロリ検査も行っておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
ピロリIgG抗体検査(血液検査)
料金:3,000円(税込)
メリット:手軽に受けられて、食事制限が不要。内服薬の影響を受けないため、検査前の休薬も不要。
デメリット:現在の感染か、過去の感染か判断が難しい場合がある。
尿素呼気試験(UBT)
料金:7000円(税込)
メリット:現在の感染状態を正確に判断できる。
デメリット:検査前は最低4時間以上の絶食が必要。胃薬など検査結果に影響を及ぼすことがあるため、検査前2週間の休薬もしくは代替薬への切り替えが必要となることがある。








