糖尿病は、日本人にとって非常に身近な生活習慣病の一つです。厚生労働省の調査でも、糖尿病が強く疑われる人、予備群を含めるとその数は年々増加しています。しかし「血糖値が高い病気」という漠然としたイメージだけで、具体的な仕組みやリスク、対策まで理解している人は多くありません。糖尿病は正しく知り、早めに向き合うことで進行を防ぐことが可能な病気です。

本記事では、糖尿病の基本や今日からできる糖尿病の予防と向き合い方を、総合内科専門医である当院副院長の宮﨑　健医師が解説していきます。

糖尿病とは？正しく知ることが第一歩

糖尿病は生活習慣病のひとつであり、血液中のブドウ糖（血糖）を調整するインスリンというホルモンが不足したり、うまく働かなくなったりすることで起こります。主に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分かれ、日本人の約9割は2型糖尿病です。2型糖尿病は、食生活の乱れ、運動不足、肥満、ストレスなど日常生活と深く関係しています。

2型糖尿病は初期症状がほとんどないため、健診などで指摘されたら放置せずに下記のような症状がある方はご相談ください。

• のどが渇き、水分を多く摂るようになった

• 尿の回数や量が増えた

• 最近、疲れやすい

• 体重が減少してきた

• 油っこいものや味の濃いものをよく食べる

• 血糖値が高め

• 家族や血縁者に糖尿病の人がいて心配　　　　など

糖尿病の治療方法

1型糖尿病ではインスリン分泌が不足しているため、インスリン注射による補充療法が中心となります。
2型糖尿病では合併症の予防を目的とした食事療法、運動療法、薬物療法による血糖コントロールが基本となります。

放置すると怖い糖尿病の合併症

糖尿病の怖さは、自覚症状が少ないまま進行し、合併症を引き起こす点にあります。

代表的なものに、糖尿病網膜症、腎症、神経障害があり、最悪の場合、失明や人工透析につながることもあります。また、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる点も見逃せません。

今日からできる予防と対策

糖尿病対策の基本は「食事・運動・生活習慣」の見直しです。食事はバランスの取れた食事を心がけ、急激に血糖値を上げないために野菜から食べる、よく噛む、糖質を摂りすぎないといった工夫が有効です。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動を無理なく継続し、適正体重を維持することが重要です。さらに、十分な睡眠とストレス管理も血糖コントロールに大きく影響します。

「糖尿病＝一生治らない」というイメージを持つ人も多いですが、これは必ずしも正しくありません。早期発見と適切な生活改善により、薬に頼らず良好な状態を維持している人も少なくありません。大切なのは、数値に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で自分の体と向き合うことです。

まとめ｜正しい知識が未来を守る

糖尿病は誰にでも起こりうる病気ですが、正しい知識と行動でリスクを下げることができます。「まだ大丈夫」と思わず、健診結果を見直し、できることから始めてみましょう。日々の小さな選択が、将来の健康を大きく左右します。

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当院では、総合内科専門医による地域に根差した内科診療を通じて、地域の皆様の健康を支えます。